2011年7月1日金曜日

札幌発 ボランティアバスツアーに参加しました

こんにちは。けんちく隊メンバーの丸田です。
7月19日から21日、週末を利用して札幌発ボランティアバスツアーで陸前高田市にいってまりました。
けんちく隊とは別の個人活動ですが、北海道からできる震災支援のひとつとしてご紹介させていただきます。
北海道からなにか支援できないかと考えている方やツアーに参加を検討されている方などに参考にしていただければと思います。





主催について
ボランティアバスツアーは札幌市社会福祉協議会(以下社協)と日本旅行が協力して主催しているものです。被災地ボランティアセンターへの連絡や、ボランティア活動のガイドは社協が、バス、フェリー、宿泊先など旅程については日本旅行がコーディネートしています。ボランティアと旅行のプロのサポートにより、参加者はボランティア活動に集中することができました。私のようにはじめてボランティア活動を行う人にとっては、参加しやすい体制が整えられていました。

ボランティアバスツアーの目的について


  1. 被災地のがれき撤去、家屋の片づけなど、被災地で必要とされている作業をボランティアで行う。 我々は屋外のがれき撤去作業でしたが、写真などの思いでの品とゴミの選り分け、危険物の分別など、手で行う細かな作業が意外に多いのに驚きました。すべて重機に任せればよいというわけではなく、多くの人の手を被災地が必要としていることを感じました。
  2. 被災地の現状を直接見ることによって、より被災地に関心を持ったり、周りの人に状況を伝えてもらう 。 日々の暮らしの中ではなかなか震災のことを感じ取れない北海道ですが、実際に被災地を見ることで意識を高め、北海道からの支援の輪を広げることにつながれば、という意図があるそうです。私も、長期的な支援をしていこうという気持ちを改めて強くしました。
  3. 宿泊やおみやげ購入などで被災地を支援する。 震災直後はボランティアは寝食移動自己責任といわれましたが、現在は被災県においても多くの宿泊施設、観光施設が営業しています。しかし、いまだ客足は戻っていません。バスツアーでは被災者の避難先や復興関係者の宿泊先となっている沿岸部の宿泊先を避け、ボランティア先から片道3時間かかる内陸のホテルに宿泊しました。宿泊したホテルも北海道からの中学校の修学旅行がすべてキャンセルになり、厳しい営業を強いられています。支援でもありますが、我々もおいしい食事と温泉で疲れを癒し、2日目のボランティア活動へ英気を養わせていただきました。もちろん、東北のおいしいお土産もサービスエリアや道の駅でたっぷり買い込みました。
  4. 今後北海道で災害が起こったとき、支援活動のリーダーとなりうるボランティア経験者を育てる。 今回は社協や陸前高田ボランティアセンターに指導してもらいましたが、北海道で災害が起こったときは、我々がボランティアを受け入れ、指導していく立場になります。今回のツアーは将来の災害に備える実践的な研修にもなりました。また、災害時にはツアーで助け合った参加者同士のネットワークもなにかしら生かせるのではないかと感じました。
行程
3泊4日
1日目(金):午後6時半に札幌をバスで出発 フェリー泊
2日目(土):青森からバスで被災地へ  作業(実働約3時間) ホテル泊
3日目(日):ホテルから被災地 作業(実働約3時間) バスで青森 フェリー泊
4日目(月):苫小牧からバスで札幌へ。午前9時着 解散


団体ボランティアの有効性
大型バス一台分のマンパワーは、現地での活動を考えるとなかなか効率的な規模だったと思います。
  1. 現地ボランティアセンターの負担を軽減  参加者をチームに編成する手間や移動手配が省け、現地ボランティアセンターの負担を軽減することができました。バスでボランティアセンターに乗り付け、代表者が手続きをしている間、一般参加者は資材を借りてバスに積み込み、そのまま作業場所へ向かいました。
  2. 40人が無理せずできることを。結果として隈なく作業ができた。  作業を行ったのは個人の敷地と田畑のがれきのかたづけです。がれきといっても大きなコンクリート片から小さなガラス片までさまざまなのですが、男性メンバーは重いがれきを数人で運び、体力に自信のないメンバーや女性メンバーは、細かいがれきを土の中から選り分け袋に詰めたりしました。40人のメンバーができることを分担しながら行ったため、大きいものから小さなものまで隈なく丁寧な撤去ができたのではないかと思います。また、各自、できることをできる範囲で行うことを心掛けたおかげか、誰一人けがひとつなく作業を終えることができました。

作業をして
一日目に作業をさせていただいた依頼者の方は、中年の男性と80代のお母さんの二人の世帯でした。
場所は市街地から少し離れた海に面した田園地帯です。
家は流されて基礎だけになっていましたが家の敷地には震災後に芽を出したのか、水仙や菖蒲が咲いていて、お母さんはがれきを片付けたところに一生懸命花壇を作っていました。
そして、家の敷地の隣には、一枚だけごみひとつないきれいな田圃ができていて青々とした稲が育っていました。
二人で一か月かけてきれいにし、田植えしたそうです。我々はその下の田圃二枚と家の敷地のがれきをまとめる作業をしました。
泥の中からはさらってもさらってもガラスやクギの刺さった木片、様々なゴミがでてきます。ご家族ふたりでつくった一枚の田圃がどれほど大変な作業だったか、それでも愛する土地に花や作物を育てようとする思いを考えると胸がいっぱいになりました。作業を終えた後、依頼者の方が少しだけお話をしてくれました。
依頼者の方は普段はそばの無農薬栽培指導で長野に赴任しており、震災後に家に戻って片づけを続けていること、津波から一か月くらいして無気力に陥った時期もあったけれど今は前を向いていること、そばの仲間が塩を吸い上げるそばの実をくれたので蒔いたら芽が出てきたこと、そして、秋にはおいしいそばとお米ができるからまた遊びに来てくださいと言っていただき、参加者の代表に手書きの名刺を描いてくれました。
我々の1日の作業ではほんのわずかな力にしかなれませんでしたが、全国からいれかわり立ち代わり、ボランティアが来つづければ、きっと美しい陸前高田が戻ってくると思いました。私も絶え間ない全国のボランティアの一員として、また、一歩一歩復興していく陸前高田市の姿を楽しみに、再びこの地を訪れたいと思いました。
多くの参加メンバーが、またボランティアに来たい、今度は観光で来たい、など再訪を希望する感想を言っていました。被災地へ至る車窓から眺めた、東北の美しい風景。被災してもなお美しい山と海に囲まれている陸前高田市。参加メンバーの多くは、東北の風土の美しさに強く惹かれていたようです。北海道に40人の東北のファンができたということもこのツアーの収穫だったのではないかと思います。

今後のツアーの予定に関しては下記のホームページをご覧ください。
さっぽろ発!東北復興支援・ボランティアバスの運行について




  
陸前高田市市街地の被害は壊滅的でした。原型をとどめている建物はわずかしかなく、あとはバラバラのがれきになってしまっています。
 
けれど海や山はいまだに美しく、震災前はどれほど美しい土地だったのか想像できました。
 

一日目の依頼者の方からいただいた名刺 裏にある文字は長野で栽培されている無農薬栽培のおそばの品種だそうです。養殖と林業を組み合わせるなど、岩手はもともと世界有数のエコタウンであるとも言われています。依頼者の方も、風土と寄り添いながら暮らす知恵をもった、岩手人らしい素敵な方でした。

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